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伊達家家臣・伊達成実に関する私的資料アーカイブ

『成実記』14:二本松攻めと雪

『成実記』14:二本松攻めと雪 原文 一、十月十五日。二本松へ御働成られ候得共。内より出ず堅固に抱候間。何事も無く打揚られ川を越高田へ。惣人数引上野陣を相懸けられ候。明日之御兵議承るべき由我等に於いても高田へ参候。拙者其夜之陣場はほう田と申て…

『成実記』13:粟之巣事変

『成実記』13:粟之巣事変 原文 一、十月六日の晩。輝宗公政宗公の御陣屋へ御出成られ候而。御台所へ家老衆へ召寄られ。義継御詫言之様子御訴訟成られ候。我等若輩に候得共召加えられ候事は。御使者親仕候間。義継へ之御使仕るべき由輝宗公仰付られ候。我等…

『成実記』12:義継の頼み

『成実記』12:義継の頼み 原文 一、同月二十六日。政宗公小浜城へ御馬移され候処。二本松義継より我等親実元へ仰され候は、代々伊達を頼入身上相立候得共。近年会津・佐竹・岩城・田村へ御弓箭に候。我等も清顕公へ御恨之儀候て会津・佐竹御味方を仕度候。…

『猫の日本史』政宗関係記述

猫の日本史: みんな猫が好きだった (出版芸術ライブラリー, 17)作者:渋谷 申博出版芸術社Amazon昨年こんな本が出ておりまして、いろいろな日本史上の人物たちがどのように猫と接していたかを集めた本なのですが、読んでみたら政宗の記述が載っていたので、引…

『成実記』11:塩松を入手

『成実記』11:塩松を入手 原文 一、小浜に於いて助之衆相談には。岩角取られ候はば。引除候事。成間敷候由申候。会津衆大内備前へ異見申候は。今日政宗公岩角を通御覧成られ候。彼城をとらせらるべき由に。思召候と現見得候と。申され候はば。何れも引除候…

『成実記』10:岩角への移動

『成実記』10:岩角への移動 原文 一、二十五日いはつのへ御働成られ。地形を打通し御覧成られ。近陣か御責候か。彼地を取りなされ候得ば。二本松の通路不自由に成候間。明日相移さるべき由。御評定極り又黒籠へ打帰られ候。 語句・地名など いはつの:岩角 …

『成実記』9:小瀬川の戦闘

『成実記』9:小瀬川の戦闘 原文 一、黒籠より二十四日。からはの内と申城へ御働成られ候。彼地へ二本松衆助入候。少々内より人数を出し合戦候得共。強くも成られず候故。武別仕候而其日は何事も之なく黒籠へ打挙げられ候。築立に差置かれ四人之衆も。小瀬川…

『成実記』8:政宗、田村領へ

『成実記』8:政宗、田村領へ 原文 一、清顕公より仰越られ候小浜には。助之衆多人数と申其上塩松の者共。方々より引除候而小浜へ計集候間。御働成られ候御手際有間敷候條。田村へ御通成られ備前抱の小城共を。御取成られ然るべく候。御理に付而築館を。九月…

『成実記』7:八丁目境について

『成実記』7:八丁目境について 原文 一、ヶ様に塩松は御弓箭に候得共。八丁目に我等親居申候処。二本松境は事切これなく候。其子細は右に書付候如く。強処へ身上を持相立候に付而。義継大内備前に加勢成られ候共。伊達の弓矢募候はば。伊達へ御詫申すべく分…

『成実記』6:青木修理の人質交換

『成実記』6:青木修理の人質交換 原文 一、築館に御逗留中。青木修理抱置候右三人之者之儀。小浜へ内通申候に付而。大内備前も修理弟子を。相捨候事も成らず候而日限を申合。小瀬川と申処へ双方より罷出。御横目を申請弟新太郎と子を受取。九郎四郎新八郎次…

『成実記』5:竹屋敷への移陣と撫で斬り

『成実記』5:竹屋敷への移陣と撫で斬り 原文 一、翌二十七日。昨日竹屋敷へ陣を移し。通路迄切申すべく候と申上候処に。半分は然るべき由申候得共。落合申さず候余りあらき道にはこれなく候條。御意を詰めず候得共。未明に竹屋敷へ陣を越候に付。伊達上野我…

『成実記』4:青木修理の内応と小手森攻め

『成実記』4:青木修理の内応と小手森攻め 原文 一、天正十三年七月始に。米沢へ拙者使者上候而。猪苗代之儀相違仕り迷惑に存候。会津に御手際御座なく候間。大内備前を御退治成られ然るべしと御尤に思召候は。備前家中之内御奉公仕候様に。一両人も申し合わ…

『成実記』3:二本松の状態と猪苗代盛国の内応条件

『成実記』3:二本松の状態と猪苗代盛国の内応条件 原文 一、会津へは御事切候得共。二本松境は手切もこれなく。八丁目に私親実元隠居仕候処へ。二本松義継より細々使を預り御念頃に申。其子細は会津・佐竹は御味方に仕候得共。本々より二本松・塩松は。田村…

『成実記』2:大内氏の対応と猿倉越の敗戦

『成実記』2:大内氏の対応と猿倉越の敗戦 原文 一、天正十三年正月に成。大内備前申上候は。雪深普請成難く候間。御暇申請罷帰妻子を召連。支度をいたし伺公申すべく候。其上数年佐竹・会津御恩賞相請候。御礼をも申上度と申候に付。御暇下され其後雪消候へ…

『成実記』1:政宗の家督相続と大内定綱

『成実記』1:政宗の家督相続と大内定綱 原文 一、輝宗公御代々。佐竹・会津・岩城・石川。何も御好身半にて御入魂也。右各数年田村へ御弓箭成られ。清顕公御手つまりに成候。政宗公之御舅に御坐候得共。輝宗御代故是非に及ばず御坐成られ候。然る処に。政宗…

『成実記』仙台叢書版・目次

『成実記』仙台叢書版 各章の数字およびタイトルは当ブログで便宜上つけたもので、原文にはありません。 解題 (仙台叢書3巻207p『成実記』解題) 原文 本書は、仙台開闢第一の功臣たる伊達安房成実が、十七八歳の少年時代より、一年上なる藩祖政宗卿の股肱…

参考文献蔵書目録

蔵書目録(20130730更新) 注: こちらのリストにある参考書籍は「自分の所有」を示すのみで、「すべてを読んだ/読んでいない」「その考えを支持/反対している」「好/悪の感情を持っている」などを示すものではないことをご了承ください。 書誌情報は国会…

入間田宣夫『中世奥羽の自己認識』伊達家関連記述

入間田宣夫『中世奥羽の自己認識』(三弥井書店/2021)を読みました。 中世奥羽の各氏族がどのように自前の系譜認識を形成し、自らのアイデンティティを築き上げたのか、を論じている本で、当然伊達氏も各所に出てきており、興味深い本でした。 (主に織豊期…

『白達記』白石宗直と伊達成実の争論

『白達記』は、白石家に伝わる家記をまとめたもの。野村紘一郎『白達記 登米伊達伝承禄/登米藩史料第2集』日野廣生/2004として刊行されています。 二段組になっていて、上に原文、下に現代語訳、後に補注がついており、とても読みやすい本です。今回は、そ…

2022年振り返り&2023年ご挨拶

2022年もそろそろ数日となってきました。 コロナ禍が始まってから宮城にも福島にも北海道伊達市にも気軽に行くことができなくなりました。 2020年秋に不忘閣行ったのが最後ですよ…。 もうそろそろ大丈夫なのかと思うのですが、仙台市博が閉まっていることも…

読書感想『「奥州の竜」伊達政宗』

「奥州の竜」 伊達政宗 最後の戦国大名、天下人への野望と忠誠 (角川新書)作者:佐藤 貴浩KADOKAWAAmazon久々に出た読みやすい政宗関連書籍かなと思います。 最新の政宗通史として読みやすく、かつ踏み込んだ内容で、政宗に興味を持った人がいたら片っ端から…

政宗の和歌①

政宗は和歌・漢詩を愛し、多くの詩歌を残しました。 『文武名将伊達政宗卿詩歌要釈』から、政宗の歌を書き出してみました。載っているだけで561首。 で、他の本に載っていて、ここに載っていない歌もあります。 本によって漢字や細部が違っているものもある…

『名語集』11:能見物の仕方

『名語集』11:能見物の仕方(能見物の仕方) 原文: 一、或時の御咄に、「かりそめにも能などは易からぬ儀なり。太夫翁をかけ、惣役者烏帽子著る事、唯常の事になし。第一、我が身の祈祷なれば、身をきよめ、行儀よくして、座敷中高聲もせぬ様に、三番四番…

『名語集』10:刀脇差のたしなみ

『名語集』10:刀脇差のたしなみ(刀と脇差の嗜み) 原文: 一、或時の御咄に、「惣別、刀・脇差は、昼夜に限らず、まして気などの重き時は、幾度も抜いて見てぬぐひ、鼻と手にあてなどしてさしたるは、心地よき物なり。人の刀に、焼のよきと聞いては、うら…

『名語集』9:刀脇差の鞘柄

『名語集』9:刀脇差の鞘柄(刀脇差の鞘と柄) 原文: 一、或時の御咄に、「男の命は刀・脇差なる間、鞘をよくして、ねたばをつけて、刃の抜けぬ様に、鞘止よくしてさせ。主の用にもたち、我が為にもなるなり。油断勿体なし。さいさい手討などする時も、常に…

『名語集』8:脇差の下緒を帯にはさむ

『名語集』8:脇差の下緒を帯にはさむ(脇差の下緒を帯にはさむ) 原文: 一、常々御意遊ばされ候は、「脇差は、是非、下緒を帯にはさみたるがよきなり。昔より数多覚えの候が下緒はさまぬ故、鞘間々抜けて、怪我したる事、幾度もあり。鞘止よくして、下緒帯…

『名語集』7:万事に気を付く

『名語集』7:万事に気を付く(すべてのことに気を付ける) 原文: 一、或時の御咄に、「人は只、高下共に、万事気を付くる事、第一なり。たとへば、主君の用事か自身の用にても、余所より宿にかへる時は、供の者一人もあらば、屋敷の前よりさきにつかはし、…

『名語集』6:常に手を清む

『名語集』6:常に手を清む(常に手を綺麗にしておく) 原文: 一、或時の御咄に、「奉公人は、上下共に手を清むるという心持、肝要なり。近き事にいはば、不断召使ふ小姓ども、我が前へ出づる時、手を清めて出づれば、髭を抜け、髪をなでよ、刀を持てといふ…

『名語集』5:身なりを慎む

『名語集』5:身なりを慎む(身なりを慎む) 原文: 一、或時の御咄に、「常世とて、老若共に、髪ふたふたとだてに結ひ、帯を引き下げて、身にもあはぬ裄を長く、袴をはねさせ、直刀差し、滑り道をも反りて歩く。これ一つとして羨む所なし。先づ、年寄りたる…

感想『仙台藩の武家屋敷と政治空間』

岩田書院さんのDMを見て、今年の2月にこんな本が出ていたのを知り、購入しました。仙台藩の武家屋敷と政治空間岩田書院Amazonいや〜〜これはすごい。おもしろい本です。私みたいな素人でもおもしろくて一気に読んでしまいました。 目次は以下の通り(岩田書…