[sd-script]

伊達家家臣・伊達成実に関する私的資料アーカイブ

『名語集』

『名語集』11:能見物の仕方

『名語集』11:能見物の仕方(能見物の仕方) 原文: 一、或時の御咄に、「かりそめにも能などは易からぬ儀なり。太夫翁をかけ、惣役者烏帽子著る事、唯常の事になし。第一、我が身の祈祷なれば、身をきよめ、行儀よくして、座敷中高聲もせぬ様に、三番四番…

『名語集』10:刀脇差のたしなみ

『名語集』10:刀脇差のたしなみ(刀と脇差の嗜み) 原文: 一、或時の御咄に、「惣別、刀・脇差は、昼夜に限らず、まして気などの重き時は、幾度も抜いて見てぬぐひ、鼻と手にあてなどしてさしたるは、心地よき物なり。人の刀に、焼のよきと聞いては、うら…

『名語集』9:刀脇差の鞘柄

『名語集』9:刀脇差の鞘柄(刀脇差の鞘と柄) 原文: 一、或時の御咄に、「男の命は刀・脇差なる間、鞘をよくして、ねたばをつけて、刃の抜けぬ様に、鞘止よくしてさせ。主の用にもたち、我が為にもなるなり。油断勿体なし。さいさい手討などする時も、常に…

『名語集』8:脇差の下緒を帯にはさむ

『名語集』8:脇差の下緒を帯にはさむ(脇差の下緒を帯にはさむ) 原文: 一、常々御意遊ばされ候は、「脇差は、是非、下緒を帯にはさみたるがよきなり。昔より数多覚えの候が下緒はさまぬ故、鞘間々抜けて、怪我したる事、幾度もあり。鞘止よくして、下緒帯…

『名語集』7:万事に気を付く

『名語集』7:万事に気を付く(すべてのことに気を付ける) 原文: 一、或時の御咄に、「人は只、高下共に、万事気を付くる事、第一なり。たとへば、主君の用事か自身の用にても、余所より宿にかへる時は、供の者一人もあらば、屋敷の前よりさきにつかはし、…

『名語集』6:常に手を清む

『名語集』6:常に手を清む(常に手を綺麗にしておく) 原文: 一、或時の御咄に、「奉公人は、上下共に手を清むるという心持、肝要なり。近き事にいはば、不断召使ふ小姓ども、我が前へ出づる時、手を清めて出づれば、髭を抜け、髪をなでよ、刀を持てといふ…

『名語集』5:身なりを慎む

『名語集』5:身なりを慎む(身なりを慎む) 原文: 一、或時の御咄に、「常世とて、老若共に、髪ふたふたとだてに結ひ、帯を引き下げて、身にもあはぬ裄を長く、袴をはねさせ、直刀差し、滑り道をも反りて歩く。これ一つとして羨む所なし。先づ、年寄りたる…

『名語集』4:無体とぬるきことを嫌ふ

『名語集』4:無体とぬるきことを嫌ふ(むやみに判断が遅いことを嫌う) 原文: 或時の御咄には、「人は、只第一、無体とぬるき事嫌ふべし。上下共に、心に慇懃を絶やす事なく、ぬるき事なき様に仕り、拍子抜けぬ様に、何事によらず実にとすれば、見たる所も…

『名語集』3:召使の利鈍

3:召使の利鈍(奉公人の利発なことと愚鈍なこと) 原文: 一、或時の御咄には、「世上にて人々の人を召使ふに、これは利根者、鈍なる者とて、分けて召使ふ。たとへば、当座の浪人者たりといふとも、物事、其の主人の気に入れば、これこそ利根者とて能くつか…

『名語集』42:伊達安房屋敷にて宗碧を手討にす、同屋敷失火

『名語集』42:伊達安房の屋敷にて宗碧を手討にする、同屋敷の火事 原文 一、或時、伊達安房守殿にて、ことごとく作事出来し、日がらを以て、貞山様を御申入れられ、朝は御数寄屋、さてそれより御書院に於て、いづれも御親類衆・大身・小身、みなみな長袴な…

『名語集』86:京都にて魚類店等の停止

『名語集』86:京都にて魚類店等の停止 原文 同日卯の刻、御他界に、江戸より京へ、早馬にて、同二十八日未の刻、上著し、奏聞ありければ、その時の所司代板倉殿(周防重宗)へ勅ありて、今日より三日は、都の内、魚類の店停止あり、見物事、髙声売買の儀も…

『名語集』84:瑞巌寺に位牌を、高野山に石塔を立つ

『名語集』84:瑞巌寺に位牌を、高野山に石塔を立つ 原文 御位牌は松島瑞巌寺に立つ。雲居和尚下りて住持す。高野山にも御石塔、御供衆まで立ちぬ。「まことに開闢より此のかた、二十余人の御供聞かざる事かな」と申す者多し。 地名・語句 現代語訳 ご位牌は…

『名語集』83:王翼祭事の怪

『名語集』83:王翼祭事の怪 原文 また王翼と申す唐人、祭事を仕り候に、長刀にて白き犬を切りける事ありしに、少しも切れずして、長刀たちうちより。折れたり。余の長刀して切り、祭事せいしが、みな人、気味悪しき事におもひし。 地名・語句 現代語訳 また…

『名語集』82:病気祈念中の怪

『名語集』82:病気祈念中の怪 原文 江戸にて、御病中の御祈念中、おびただしき中に、不思議なることには、御屋敷にて、愛宕の円福寺、大般若行ひ申されけるに、僧衆一度に御経読み上げし声、さながら泣きたてたると皆人肝を消し、あわてさわぐほどに御座候…

『名語集』81:床の上の煙草の怪

『名語集』81:床の上の煙草の怪 原文 同じあかつき、御座の間、御床の上に御煙草常にあげられ候ほど、五服ひねりて、五所にありし。御煙草入は、宵に御袱紗にてよく鼓、御床にあげられしが、少しも乱れず、いつものごとくあり。不審に思ひて、あたりを見る…

『名語集』80:奥の寝所の怪

『名語集』80:奥の寝所の怪 原文 二十日朝、江戸へ御たちなされ、今は岩沼辺なるべきかと思ひし折ふし、奥の御寝所にて、たかだかと御独言、しばしがほど、まさしく御聲したり。女房たち、こはいかにと、不思議に思ひ、おづおづ忍びよりて、見しかども、何…

『名語集』87:将軍家に形見を献ず

『名語集』87:将軍家家光に形見を献上する 原文 上様(将軍家家光)へ御かたみには、鎬藤四郎吉光の御小脇差、山の井の御茶入、虚堂三幅一対、差上げられ候。 地名・語句 現代語訳 将軍家光への形見には、秀吉から貰った鎬藤四郎の脇差し、山の井の茶入、禅…

『名語集』88:夫人剃髪

『名語集』88 :正室めご姫の出家 原文 奥様も御髪をおろさせ給ひ、瑞凰寺(清岳)より、陽徳院様と御法名を進じ奉り、御隠居所にて、朝夕の御仏共を供へ、御焼香なされ、たぐひなき御心ざしかなと皆人感ぜぬはなかりけり。 地名・語句 現代語訳 正室めご姫…

『名語集』56:江戸に上る、増田にて郭公を聞く、白石にて片倉小十郎に会う

『名語集』56:江戸に上る、増田にて郭公を聞く、白石にて片倉小十郎に会う (*この文の小十郎はすべて景綱ではなく、重綱です)原文: 一、ほどなく四月二十日になれば、御供の衆は、夜のうちより御城へ相詰め申し、朝の御膳、岩沼にて召し上げらるるはずに…

『名語集』解題【仙台叢書版】

本書は伊達政宗卿の言行録とも見るべきものにして、其一生の行実は細大漏らさずこれを述べ書したるも何人の手に成りしか明かならざるは遺憾に堪えざる所なり顧ふに其記述の状況よりすれば側近く召仕はれたる人々の手に成りしものの如し且其臨終前後における…

『名語集』跋文【仙台叢書版】

普段このブログに上げている『名語集』原文は宝文堂版を参考にしているのですが、(「伊達の松陰」目当てに)仙台叢書1を入手してみたところ、仙台叢書版の方の『名語集』跋文も素晴らしいので、これも併記することに致します(とりあえず好きなとこからで…

『名語集』52:諸芸に達す

52:諸芸に達す(諸芸に通じる) 下線のあるところは上手く訳せないところ。ご助言いただけたら幸いです。 原文: 一、第一の御心がけは武具なり。朝夕めづらしきを添へなされ、ふりたるを捨てたまはず。御家中も上をまなぶ習なれば、かなはぬまでも、武具・…

『名語集』2:武士の死を惜む

2:武士の死を惜む(武士の死を惜しむ) 原文: 一、或時、貞山様御咄に、「我れ若年より方々へ合戦に、心掛けたる所へ押し寄せ、存分叶はず、引取りたる事おほかた覚えなし。無理なる所へも其の時の見合により押し寄せ、多く人数をうたせ、或は敵を追出し…

『名語集』1:唐土の幼児政宗公の名を聞きて泣止む

1:唐土の幼児政宗公の名を聞きて泣止む(唐の国の幼児、政宗公の名前を聞いて泣き止む) 原文: 一、或時王翼と申す唐人の咄にいふ、「それがし国許ににありし時、ここかしこにて物心つきたる倅などは、たれ教ふるともなく、政宗公と聞きては、物事に恐れ…

『名語集』目次

『名語集』目次 上 序 1:唐土の幼児政宗公の名を聞きて泣止む 2:武士の死を惜む 3:召使の利鈍 4:無体とぬるき事とを嫌ふ 5:身なりを慎む 6:常に手を清む 7:万事に気を付く 8:脇差の下緒を帯にはさむ 9:刀脇差の鞘柄 10:刀脇差のたしなみ 11:能見…

『名語集』29:ただ居ることなし

『名語集』29:ただ居ることなし (不完全なので、コピペなどはやめといた方が吉です。下線は文章の意味がわからなかったところ。間違いなどご指摘いただけたら幸いです) 29:ただ居ることなし(ボーッとしていることがない) 原文: 一、第一、御まめに御…

『名語集』41:武蔵野の歌と不二の歌

41:武蔵野の歌と不二の歌 (*不完全なので、コピペなどはやめといた方が吉です。下線は文章の意味がわからなかったところ。間違いなどご指摘いただけたら幸いです) 原文: 一、されば、詠歌の道に長じ給ひ、花鳥風月の才、いとかしこくわたらせ給ひ、折に…

『名語集』40:能を観て感泣す

40:能を観て感泣す(能を見て、感動して泣いた) (*不完全なので、コピペなどはやめといた方が吉です。下線は文章の意味がわからなかったところ。間違いなどご指摘いただけたら幸いです) 原文: 一、或時、御親類衆御一家御一族衆、その外、大身衆に御西…

『名語集』著者について

『名語集』を書いたのは誰か。 実は元禄16年(4代藩主綱村による治家記録編纂事業)の時点ですでに不明になっている。 名語集<又、命語集ともあり。作者知らず、或は是も亦、成実の記なりと云う> 昭和10年に『政宗公御名語集』を編纂した小倉博氏のご意見…

『名語集』跋文

『名語集』跋文 (*不完全なので、コピペなどはやめといた方が吉です。下線は文章の意味がわからなかったところ。間違いなどご指摘いただけたら幸いです。 原文: さるほどに、かれこれの騒がしきまぎれには、皆人さほどになかりしが、御仏事故なう過ぎゆく…