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伊達家家臣・伊達成実に関する私的資料アーカイブ

【雑談】是如何?

大河清盛の影響で西行とか、政宗の和歌とかについてぼんやり考えていたら、本屋で小川剛生『武士はなぜ歌を詠むか-鎌倉将軍から戦国大名まで-』と綿抜豊昭『戦国武将の歌』を見つけたので読んでみました。一冊目は国文の専門家の先生が武家社会の歌について書いたもの。頼朝から今川氏真まで(…惜しい! せめて幽斎さんとか近衛サロンまで書いて欲しかったっ!!)。二冊目のは、見開きで一人の武将の歌を取り上げて、簡単な背景解説と意味。氏郷と、政宗の夏衣の歌(左馬助への挽歌)と馬上少年過ぐの漢詩が載ってました。
馬上少年過ぐといえば、先日Twitterの政宗ボットが、「『楽しずんば是如何』の意味は『楽しまずしてどうしよう、いや楽しむべきだ』or『楽しいと思えないのはどうしてだろうか』のどっちだと思う?」みたいなツイートをしてまして、私はいやあなたは両方感じてたでしょう、と即座に思いました。
美味しい酒のんで、美味しい物たべて、歌詠んで、暴れて、楽しいけれど、どこかつまんなくて、でもそう思いながら、子ども達はかわいいし、それみてほんわかしたり、頭悩まさせたりしつつ、長生きするのも悪くないと思いつつ、そのことにもちょっとひっかかりつつ、で、実盛見たとき、ヒリヒリした日々を思い起こして泣いたんだろう…と思うわけです。そして同じ思いをしてるのが自分だけじゃないことを知って、嬉しかったはずだ。自分はひとりじゃないんだと、改めて思えたはずだ。
その気持ちがたぶん心の月で、ピングドラム(幾原邦彦監督アニメ『輪るピングドラム』参照)なのじゃないのかな。
義姫の毒膳事件の真相や、最上との関係、竺丸・小次郎(ひいては秀雄?)との関係も含め、政宗の前半生の暗い影(というのが本当だったかも含め)は謎ですが、彼の後半生がけして暗いものでなかったらしいところが私が政宗に惹かれる理由です。持っていた孤独とうまく付き合えるようになっている感じがとても好きなのですよね。病んだ人は人に凝った料理だそうなんて思えない。
かつてはこうは思っていなかったです。