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伊達家家臣・伊達成実に関する私的資料アーカイブ

【感想】千葉真弓『独眼竜政宗』河北新報サイト

(*この記事は、公式関係者・著作権者とは全く関係ないいち読者・いちファンの私的な感想記事です。何か問題などがありましたら、メールフォームにてご指摘いただきましたら適宜対応いたします)

■河北新報サイトについて
思い起こすこと今年の元旦。朝もはよから(嘘です。初詣夜に行くタイプなので昼まで寝てました)、仙台在住伊達仲間さんたちから、写メ付きのメールが届きました。
「伊達マンガが新聞に載ってる! 成実もでてるよ!」
なんですと!? …待つこと数日。読みました。そのときかきました記事がこちら。

あれ…? この絵見たことあるなあ…(記憶を総動員してみた)。
○○年前(あまりに昔すぎて自主規制)、仙台の図書館でこの人のマンガ立ち見みしたことある!
で私が昔読んだのがおそらくこちらの本でした。

ファシクラ伝―支倉常長・サムライ地球を駆ける

ファシクラ伝―支倉常長・サムライ地球を駆ける


伊達とは関係ないですが、私実は支倉常長がローマ行く際に通ったノビスパニア(nueva españa)ことメキシコとちょこっと関わりがありました。常長が通ったクエルナバカに(ちょっとの間ですが)住んでいたこともあり、最初に遣欧使節がたどり着いたアカプルコにも遊びにいったことも数回あり(なのに常長像とか博物館とか見に行かなかったので今その頃の自分をはったおしに行きたい…orz)。まあちょっと私にとっては特別な所なのです。まあそれはどうでもいい。
で、この『ファシクラ伝』、支倉常長の旅を描いているので、風景として当時のメキシコの風景が出てきます。
f:id:queyfuku:20130726032343p:plain:h400:left地図で見ていただいたらわかるのですが、南から北上する形で、太平洋岸のアカプルコーチルパンシンゴータスコークエルナバカ(ーメキシコシティーベラクルス〜船でキューバ経由でヨーロッパへ/→メキシコシティで右に方向転換する感じでメキシコ湾へ向かうルート)と常長は旅したらしいのですね。(この画像のルートは単にグーグルで「徒歩」で検索したらでてきたルート。実際に通ったルートかどうかはきちんと調べてないです)出発地点がアカプルコAcapulco、B地点がクエルナバカCuernavaca、C地点が途中で寄ったタスコTaxcoです。
メキシコは現在列車が(特別な観光列車以外は)なく、都市間の移動は基本バスか飛行機なのですが、クエルナバカに住んでた私は遊びに何回かアカプルコにバスで行きました。もちろんここで表示されてるルートは今の道ですし、様子もルートももちろん常長の通った時代とは違うとは思います。
ですが、この千葉さんのファシクラ伝の一コマに、私が見たものと寸分違わぬメキシコの山・ゲレーロ州のジャングルの様子がその雰囲気含め、見事に描かれていたのです(多分チルパンシンゴすぎたあたりかなあ?<勝手な推測)。もちろん千葉さんが取材に行かれたのはファシクラ伝描かれる前で、要するに現代であって、現代に行った私が同じ景色見るのは当たり前じゃん、というのはたしかなのですけれども。
でも、あの時代のあの国の風景を(たとえ一部分だけでも、もしかしたら向こうの人に見せたら多少間違ってはいても)再現しようとしてくださった…ということに私は感動しました。
日本史と世界史の本というのは、なぜか不思議なことにすごく縦割りで交流が断絶してて、研究者であってもよほど国際関係史を専門にやっている人でないと、的外れなことを書いている本があったりして、首をかしげる事があります(研究書っぽい本でも、一般向きの本でも)。私が読んだいくつかの遣欧使節の本でも、少しでもメキシコやスペイン史を知っていたら、素人でもこうはかかないよ〜と思う記述とかがぽろぽろあったり、単純な地名とかが間違っていたり。ローマのことは詳しくても、メキシコのことなんて全くかかれてなかったり。
まあそれが普通だと思って、メキシコやスペイン史の記述については、何も望んでいなかったので、「まさかマンガで!」「ここまで!」と思ったのでした(まあその後研究が進んでまた違うところもあるようですが。そもそもマンガですし)(←この言い方にマンガという表現形態を貶める意図はありません。マジメな書籍でもそんなレベルなのに、マンガでここまでこだわって!という単純な驚きと喜びです)。

おおお…今は河北で連載されていたのかあ…よかった…(かほぴょん子ども新聞で隔週で連載されています。2013年7月現在は政宗と成実が「おれたち高校生なんだけど、いきなり跡継がされそう…」なあたり(笑))と思いつつ読んだ。
そして最近、河北新報のサーバーで、過去の分の掲載が始まりました(今25話あたり?)。
河北新報『独眼竜政宗』サイト
f:id:queyfuku:20130726025056j:plain
(バナーからリンクする形にうまくはれなかったので、文字リンクから飛んでください)

新聞に載った記事と、それぞれの回の裏話(時代考証・絵考証・解説など)である「楽屋」の記事があります。連載を始めるにあたっての言葉や、慶長特別編執筆の動機なども含めいろいろと書いてありまして、非常に興味深い*1
ガレオン号の乗り心地や鎖帷子の匂いや火縄銃の重みを考えて、絵を描いたことなど…私はありませんよ…すげえ(アマチュアの歴オタの道楽と一緒にしてはいけないと思いつつも、感動するのです…)。ファシクラ伝の間のトークページでも、アカプルコやローマを取材なさったときの裏話などがかいてあるのですが、このサイトを見て「あーこの方があの本をかかれたのだな…」と逆に納得してしまいました。

支倉常長の通った当時とはもちろん違うというのはわかっていますが、メキシコって土地面積が大変広いので、町と町の間って本当に何もなく、砂漠だったり、ジャングルだったり、荒野だったりするのです。その間を道路だけがすーっとのびています。今だから車でささっといけますが(それでもクエルナバカーアカプルコは3〜4時間くらいかかります)。車が止まってしまったら恐怖感じるレベルで、何にもない荒野とか、ジャングルとかが続いてる。
なので、町や道は今とはもちろん違いますが、通ったジャングルや見た風景は同じ部分、似たようなところもまだある…かもしれないなと思うのです。
そういう雰囲気までもかこうとされてるところがすごいな、と思いました。特別編のフェリペ3世の肖像画の再現とかがすごい…。あとビスカイノの軍装とか、イダルゴの衣装とか。

ここまで考証っぽいことについてばかりかきましたが、ストーリー、そして政宗をはじめとする登場人物たちのキャラクター造型も大変おもしろいのです…!(≧▽≦)
本編の方は政宗も成実も(掲載されてる分は)まだおこちゃまで、むしろ実元やら留守叔父様*2やらが魅力的すぎて! これから家督相続でこの先がどうなるやら楽しみで楽しみで!
あと私は小十郎さんが好きだー!(≧▽≦) まじめくさってメタなギャグを放つ小十郎さんが好きだー!(笑) 留守叔父様が大好きだー! 実元がダンディだ…!(…以下果てしなく続くのでここらへんで黙る)
慶長特別編は8pで終わりなのですが、ラストのページの軍装の政宗は本当にかっこよくて震えました。
末永く続いて欲しい連載&WEB掲載です(頑張ってください河北新報様!)。しかしまあ地元っていいなあ…って思うのですよね…改めて…。
というわけでして、東北在住で河北を購読なさっている方でなくとも、地方在住でネット出来れば(待てば)見られる状態になったということで、他地方在住伊達オタクとしては大変有り難く思います…。

全くどうでもいいことですが、この正月号の他のページかどっかに仙台の正月の初売りの話が載っていて、正月から吹きだしました…輝宗がはじめた説があるのだそうですね…(どっちにしろなんか絶対政宗がはじめたっぽい風習だ…)。こちらの地方ではあんまりやってない風習なので、仙台の方に詳しく聞いて驚きました…。逆に仙台の方は珍しくない風習らしく、他地方の人は知らないのかと驚かれてました…。


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■あと、話は変わりますが、常長の旅程についてネットサーフィンしていて、青葉城資料展示館の学芸員の大沢さんという方のブログを発見しました。
支倉常長の足跡を追う旅
(*リンク規定なかったのでリンクフリーだと思ってはりました。もし問題あればお申し付けください)
メキシコ〜ローマなどの写真がたくさん載っているので、向こうの雰囲気をなんとなく感じられると思います。

■話は変わりますがその二。当時のメキシコを知るのに、おもしろい研究書が、最近*3メキシコの研究者の手によってでました。メキシコのグアダラハラで有力者となった日本人フアン・デ・パエスについての研究です。フアンは大坂出身の少年なのですが、かれの妻の父である日本人がもしかしたら伊達家中で、支倉常長の一行だったかも?ということが推測されています。当時のノビスパニアの教会・社会の仕組み、グアダラハラの外国人受容度などを思い浮かべるのにとても興味深い本です。

グアダラハラを征服した日本人―17世紀のメキシコに生きたフアン・デ・パエスの数奇なる生涯

グアダラハラを征服した日本人―17世紀のメキシコに生きたフアン・デ・パエスの数奇なる生涯

  • 作者: メルバ・ファルクレジェス,エクトルパラシオス,Melba Falck Reyes,H´ector Palacios,服部綾乃,石川隆介
  • 出版社/メーカー: 現代企画室
  • 発売日: 2011/01
  • メディア: 単行本
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いつものとおり話があっちこっちですが、今回は紹介でした。では。

*1:もちろんそのきっかけが震災であることは複雑な気持ちで、興味深いと面白がってる場合ではないのですが

*2:特に留守様がお茶目ですごいキャラがたってて、本当におもろくて我慢出来ないっ(笑)

*3:つってももう2011年です…