『名語集』82:病気祈念中の怪
原文
江戸にて、御病中の御祈念中、おびただしき中に、不思議なることには、御屋敷にて、愛宕の円福寺、大般若行ひ申されけるに、僧衆一度に御経読み上げし声、さながら泣きたてたると皆人肝を消し、あわてさわぐほどに御座候。かかる折からには、何はの事も思ひ合せられ、これかれ心にかかる事多し。
地名・語句
現代語訳
江戸にて、闘病中の激しく平癒祈願をしているときに、不思議なことに屋敷にて愛宕の円福寺の僧によって大般若経をおこなっていたところ、僧衆が一度に経を読み上げた声がまるで泣き立ててるように聞こえると、皆非常に驚き、慌て騒いだほどであった。このようなときは、なんでもないようなことも思い合わせられ、かれこれ気になることが多かった。
感想
怪シリーズ。これは僧の音声のが泣き声に聞こえたという話。不思議ですねえ。