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伊達家家臣・伊達成実に関する私的資料アーカイブ

『伊達日記』36:最上からの使者

『伊達日記』36:最上からの使者

原文

一、最上より義顕、野辺沢能登守と申衆を蟻が袋へ遣はされ候而、能登守月鑑に会候て何と申合候哉。月鑑は深沢へ帰。安芸守は小野田へ同心申。小野田の城主玄蕃、九郎左衛門両人へわたし申され候。其夜能登守、泉田宿へ罷越申され候は、貴殿を引取申候事は相馬、佐竹、岩城、会津申合、伊達へ弓矢を取申すべき由相談候て、相馬より茶窪又左衛門と申者使に参られ候。貴殿好身衆へ申合され謀叛を申されるべき由申候。安芸守申せられ候は、我等の主君の奉公に一命を捨新沼へ籠候軍勢を相扶候。御弓矢の儀は存ぜず候。早々首を召され候様に頼入由申され候。御申分比類無き由能登守感申され候。安芸守より斎藤孫右衛門と申者を忍使に政宗公へ指上、右の段々具に注進申され候。

語句・地名など

現代語訳

一、最上義光が、最上から、野辺沢能登守という者を蟻ヶ袋へお遣わしになり、能登守が月鑑斎に会ってどんな話をしたのだろうか、月鑑斎は深沢へ帰り、安芸守は小野田へ同道した。
小野田の城主玄蕃・九郎左衛門の二人へ渡された。
その夜、能登守が泉田安芸が泊まっていたところへ来て、貴方を引き取ることは相馬・佐竹・岩城・会津が言い合わせて、伊達へ戦をすることを相談して、相馬から茶窪又左衛門という者が使いとして来た。
あなたもこの一味へ申し合わせ、謀叛をされるのがいいのではないかと言った。
安芸は私は主君への奉公に一命を捨てて新沼へ籠城していた軍勢を助けた。戦のことは知らない。はやく首をきるようにと頼んだことを言った。
その言い分は比べるものない素晴らしいものだと能登守は感動して言った。
安芸守から斎藤孫右衛門という者を忍びの使いに、政宗へお送りになり、以上のことごとを詳しく申し上げた。

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