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伊達家家臣・伊達成実に関する私的資料アーカイブ

『伊達日記』88:秀吉との対面

『伊達日記』88:秀吉との対面

原文

一小田原御陣所に石垣御普請成られ候半に。芝居にて太閤様曲録に御越をかけられ家康。利家を始大名衆余多御座候。御礼成られ御帰有るべきと思召候処に。政宗と二聲御意候而小田原の城の見え候方へ御向。御杖を以て地を御指。是へ是へと御意。其間遠候。御参候処に脇指御さし候を御わすれ成られ。中程にて御抜。下に和久宗是居申され候。御念比にて候間宗是へなげさせられ御前へ御参候。一間計近へ御呼成られ。御杖を以城の様子何方何方と御指候而教御申成され候。政宗公も思召之通仰上られ候を大名衆いずれも聞召。田舎者に候へども脇指のなげ様の申ぶり御前にてをぢふれぬ体。聞き及ぶ程の者の由御誉候由。宗是物語を後承候。

語句・地名など

現代語訳

小田原の陣所にて石垣の普請をされていたところ、芝の上に、秀吉が曲録という椅子にお座りになっていた。家康・利家をはじめ、大名衆多くいらっしゃった。御礼を申し上げ、帰ろうと思ったところに、政宗、政宗と二声おかけにななって、小田原の城の見えている方へ向かい、杖を以て地面を指されました。こちらへこちらへと仰せになり、遠かったので、近寄ろうとしたときに、脇指を指したままだったことを忘れており、途中まで来たときに抜き、下座に普段から親しくしている和久宗是が居たので、彼の所へ脇指を投げ、秀吉の前に行った。一間ほどの近くへお呼びになり、杖で城の様子を何々と指しながら、教えてくださいました。政宗も思っていた事をすべておっしゃったのを、大名衆はみな聞いており、田舎者ではあるけれども、脇指の投げ方の様子と、秀吉の前で怖じ気づくことなく対応した様子を見て、噂に聞くほどの者であったと褒めたという事だった。のちに和久宗是がそう語ったのを聞いた。

感想

政宗と秀吉の会見の一部始終が書かれています。
おもしろいのが、この話を和久宗是が伊達の家中の人に話していたところでしょう。