[sd-script]

伊達家家臣・伊達成実に関する私的資料アーカイブ

『成実記』14:二本松攻めと雪

『成実記』14:二本松攻めと雪

原文

一、十月十五日。二本松へ御働成られ候得共。内より出ず堅固に抱候間。何事も無く打揚られ川を越高田へ。惣人数引上野陣を相懸けられ候。明日之御兵議承るべき由我等に於いても高田へ参候。拙者其夜之陣場はほう田と申て。二本松より北に而高田よりは各別之処に而候。夫は八丁目の抱に而目付迄差置候。双方数多討死致し候。高田之衆も相返され候に付。城内より出候人数遠やらひ迄押入武別仕候。十五日之夜半時分より。大風吹出明方より大雪降。十六日より十八日迄昼夜共に降続候。故。馬足叶わず御働も成らず二十一日に小浜へ御引籠。雪中は御働成らるる間敷由に而境之衆残り無く相返され御休息成られ候。

語句・地名など

高田:高田:二本松市平石高田
ほう田:『政宗記』では伊保田(伊保田:安達郡安達村硫黄田?油王田?)

現代語訳

一、10月15日、二本松城へ戦闘を仕掛けられたのですが、内からはまったく出ず、固く籠城していたので、何の成果もえられず、川を越え、高田へすべての軍勢を引き上げ、野陣をしかれました。明日の戦について聞くために、私も高田へ参りました。
私がその夜陣を引いたのはほう田という、二本松より北で、高田よりは行きやすいところにありました。八丁目の監視の範囲内でしたので、目付をおいたのですが、双方たくさん討死しました。高田の衆も戻されたので、城からでてきた者たちが遠矢来まで押し入り、戦闘終了になりました。
15日の夜中頃、大風が吹き始め、明け方から大雪が降った。16日より18日までは昼からよるまでずっと雪が降り続いたため、馬が歩くこともできず、戦闘することもできず、21日に小浜へ引きこもられました。雪の中では戦をするなといわれたので、境の衆は残らず戻され、お休みになられました。

感想

二本松城攻めが降り続く大雪で中止になったことが書かれています。